管理員の業務に、「緊急対応」というものがあります。そして、これは勤務時間外も含む、とされています。
じゃあ、緊急対応、とは何を指すのか・・・となると、これは人により判断が違います。会社の担当者によって、住人によって、当の管理員、それぞれが異なる考え方をしていることも珍しくありません。
大手の会社によっては、トイレが詰まった場合も24時間365日対応する所があります。でも、それはごく一部。一般的には専有部である個人宅内のトラブルに、管理員(管理会社)が対応することは多くありません。窓口対応時間なら、困っているだろうから・・・と細かいことを言わずにサービスと思って対応しますが、夜間や休日の緊急対応に属さないのが基本です。
とはいえ、本来緊急対応に属さないことでも、とりあえず住み込みの管理員に言う、って住人が非常に多いです。これは、私が働いているマンションだけじゃなく、研修やHP,ブログなどから、住み込み形式の場合、どこもその傾向が強いようです。
住んでいる以上、無下に断ることも出来ません。そもそも、管理員の立場は弱いのです。強く言われたり、お願いされたら、受ける他ありません。これら緊急でない場合、サービス対応ですから、会社に時間外や残業の請求も出来ません。正直なところ、働き損です。それでも、まぁ、半分の割合で「ありがとう」と、感謝してもらえるので、人の役に立った、ボランティアした、と自己満足することが出来るし、約2割はお礼です・・・と、後で菓子や果物などの差し入れをしてくれるので、本来の仕事じゃなく好意でしてあげていることが、ちゃんと相手にわかってもらえている、と嬉しく感じることが出来ます。
じゃあ、緊急の場合は・・・というと、これがまた、管理員の立場は弱いのです。上階から水が漏ってきた、エレベータが故障して止まった、火災報知機が鳴った、・・・という場合は、当然、緊急対応です。深夜だろうが、休日だろうが駆けつけます。外出していてもタクシーを使ったりして大急ぎで帰り、対応します。ところが、これがまた、タクシー代も出なければ、休日出勤代や時間外勤務代も支給されない・・・のです。緊急連絡の為に方々へかけた電話代も、もちろん出ません。会社(管理組合)から携帯が支給されないので、仕事の時もマイ携帯を使用しています。節約の為、基本、携帯電話は受ける専門、極力使用しないようにしていますが、緊急の場合はそんなこと言っていられません。1分の通話につき42円かかりますが、必要な件数へ、場合によっては20分でも30分でも通話します。
契約内容に、緊急対応(時間外含む)と謳われている以上、管理組合がこれへ対価を支払う義務はありません。管理員の雇用主である管理会社が、時間外勤務として支払うべき、なのですが、でも、支払われない。住み込み=家賃がタダな以上、多少のサービス労働は当たり前、それが受け入れないのであれば、他の仕事を・・・、と会社に言われてしまうと、何も言えません。だって、職を失いたくないもの。
労働基準監督署などを通して、会社と戦えば?って思うかもしれないけど、それって簡単じゃないです。他にも多々問題を抱えていた私達でさえ、監督署、労働省、電話相談センター、・・・全てから、「訴えれば、本来支払われるべき賃金が未払い金として支給されると思います。請求には時効があるので、3月までに決断が必要です。仕事を失う覚悟があるなら、お手伝いします。でも、今の仕事を失いたくないのであれば・・・」と言われました。
これって、私が公務員だった時と同じ。上司の不正を訴えよう!と正義感に燃えていた青二才の私は唖然としました。何で私が辞めなきゃならないの???悪いのは上司なのに!?この世の中、正しいことをしても幸せにはなれない場合が多いのが悲しい現実であることを痛感した、苦い思い出・・・。
管理員に対する不当扱い、雇用状況の法抵触、については、以前から争われていますが、管理員は負けてばっかり。いくつか、話題になった、管理員の立場を認める判決もあるけれど、まだまだ極々僅か、です。退職後などに一時的な仕事として就く方が多いので我慢したり、形式上、職だけじゃなく住居も失う立場から泣き寝入りすることが多いので、裁判になるケースは稀。現状は闇の中、です。
結局のところ、住み込み管理員が勤務時間外に緊急対応した場合・・・は、ある大阪の判例からもわかるように、管理員が自己の判断で行動したことであり、会社からの指示ではない、また管理員の行動を具体的に立証することは出来ない。よって賃金を支払う必要な無い。というのが会社や社会の通念。
じゃあ、住人から管理組合へ緊急対応を求める依頼があった場合、管理会社は管理員へ緊急対応を指示することが出来、その場合、その労働対価は管理組合が支払わなければならない・・・と契約書か重要事項説明書に明記されてれば良いのですが、うちの会社と管理会社の間には、そういう約束は交わされていません。ある管理会社では、1度の緊急対応に対して、ただ対応を受けるだけで、5,250円を管理組合から受け取る、それ以外に業者を呼ぶ必要があったりして支出が発生した場合には、当然として、それも管理組合が支払う、というところがあります。5,250円が高いかどうかは別として、サービスを提供する以上、お金を要求するのは当然です。
この状況を止むを得ない、とは思えないので、その都度、担当者に「何とかして下さい、管理組合との契約を現状にあったものに変更するよう、努力して下さい」と、お願いしていますが、未だ何ら変化はありません。・・・とはいえ、管理員が弱いのと同じように、管理会社も弱いのです。1年更新の管理委託契約を白紙に戻されたら、大変です。結局は、私達は客商売。管理組合(理事長)には抗えません。
全く畑違いの、この住み込み管理員になった当初は、震えがくることもあるくらい憤りを感じました。住まわせてやっているんだから何でもやるのが当たり前だ、給料を払っている住人は神様で管理員は奴隷だ、という冷遇に、声を出して泣いたこと何度もありました。言いすぎではなく、実際結構こう思っている人、多いんです・・・凹。でも、長くすればするほど、惰性と慣れで、それほど腹が立つことは減りました。あとは、住人と管理員といっても、結局は人と人。馴染むほど、困ったことを要求されることが減り、対応に苦慮する苦情も減りました。良くしてくれる人も何人かいるので、孤独感が薄らぎました。それに、酷い!と思っても、毎日見ている人なので「仕方ないなぁ、本当にこの人は困った人だなぁ。。。」と、半分呆れて許せたりするようになってきました。
突然発生する、しかもお金を貰えない仕事だと思えば酷く嫌なことでも、近隣の付き合いで必要な助け合い、だと思えば、私が田舎で過ごした少女時代には、普通にやっていたことに共通することばかり。世話好きで、しかもプライベートに首をつっこまない、噂話嫌いのおばちゃん、になれれば、仕事でもプライベートでもワンランク上にいけるかな。
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